−今回は家族がテーマの作品ですが、これまでのとの違いは?

奥村 これまでにもMONOで家族物をやったことは何度かあると思うんですけど、今回の違いと言えば……前からいるメンバーが親になるということでしょうね。

石丸 家族って、国籍や人種の前の一番小さなコミュニティーですよね。MONOの作品で描いているのは人間と人間の関係性とか繋がりじゃないかなと思って。

奥村 そうですね。「擬似家族」ですしね、今回も。前にやったの(*)も全員養子の兄弟だったから。だから劇団にも近いような、そんな人間関係を描きたいのかなって。(*なるべく派手な服を着る)

−実際に生まれ育ったのはどんな家庭ですか?

奥村
 俺の家族は、平凡な……母親、親父、それから親父の母ちゃん、兄貴、俺、弟という家族構成。昭和初期に生まれた父親だから、昔気質というかなんというか、家父長制度と言うものをそのまま体現したような感じで。子供にめちゃくちゃ厳しくて……だから父親は大嫌いでしたね(笑)。

石丸 叩かれたり?

奥村 叩かれた!俺はよく逃げ回ってましたね。で、兄貴がよく捕まってた。今だったら問題になるんじゃないかな(笑)。

石丸 うちは…父親、母親、私、妹で。父は車の設計をやっている人。製図書いたりCADを使ったり。

奥村
 おぉ!

石丸 舞台美術でもCADとか使いますか?

奥村 うん、みんな使ってる。みんな使ってるけど…俺は手書き(笑)。でも似てるね。そういう、ものづくりみたいな。

石丸 そうですね。で、母とは社内結婚したらしいです。妹は旅人やってるんですよ。

奥村 中田英寿みたいな(笑)。

石丸 今ニュージーランドにいます。ワーキングホリデーで。普通に学校を卒業して就職してっていう夫婦から、全然就職しない人たちが生まれちゃったっていう感じなんです (笑)。

−家族との思い出は?


奥村 家族旅行かなぁ? 滅多に行かなかったけど、宝塚のファミリーランドには毎年日帰りで行ってた。あと、鳥取とか日本海の沿岸をずっと電車で回って、3泊4日くらいで。それは楽しかったです。

石丸 私は……小学生くらいの時に、そろばん塾のキャンプに行った時に、川で私溺れたんですよ。私は普通に泳いでたんですけど、溺れている子に掴まれて。周りは遊んでると思ったらしいんですけど、母だけが「あれは溺れてる」って気づいてくれて、着ている服とかもそのまま飛び込んで助けてくれました。

奥村 いい話やね。

石丸 いい思い出ですね。

奥村 ……ごめん。それでいうと俺のはエピソードっていうエピソードでは無かった。「旅行が楽しかったね」みたいな感じで。そういうエピソードは…あるはずなんだけど、ちょっと今思い出せない(笑)。

−今回の役柄はどんな人物ですか?

奥村 僕の役はちょっと古風で、「父はこうあるべき」とか「子供はこうあるべき」とかいう考えにとらわれている、考えの狭い人だなと思う。そういう意味では実際の俺の親父に近いのかなと思ったりします。自分はそういう親父の姿を見て、こんな大人にはなるまいって思いながら過ごしたから、正反対の部分もあるかな。石丸さんどうですか?

石丸 私の役は、何もしない人です(笑)。この稽古期間中、若手チームは一緒に暮らしてるんですけど……これを言うとみんなに怒られるかもしれないんですけど。そこそこやってるぞと思ってるんですけどね、自分では。

奥村 手伝ってるフリぐらいはするのかな(笑)。この間、みんなの宿泊先にお呼ばれした時に、実際の生活と役柄が似てるなぁと思いましたよ。

石丸 今日、私が洗濯したら、なぜかすごく感謝された(笑)。

奥村 洗濯って、各自じゃなくて全員の分やってるの?

石丸 洗濯機に入れて、良きときに回すっていう感じです。女子は。

奥村 女の子3人だけね。1人だけちょっとね(笑)。

石丸 渡辺さんは、女子の洗濯が終わると静かに自分の分だけ洗ってる(笑) 。役のままですね。

奥村 ほんまやね、似てる。女性が多いとそうなっちゃうね。かわいそうに(笑)。

−稽古中に意識している事はありますか?

奥村 稽古自体をなるべく自分が止めないようにと思いながらやっていますね。時間もないし、俺が止めちゃうとそれだけみんなの練習時間が減っていくわけだから。しかもこっちはベテランの方だから、俺らが止めてちゃダメだなっていうのはあります。

石丸 私は、日々の稽古で、「今日はこの人のここを見たい」っていうシーンがあって、先輩達から盗みたいっていうか、「今日は奥村デーだ」「今日は金替デーだ」って、その人を注目してずっと見てたりします(笑)。

奥村 それも面白い見方やね。なるほどなるほど。俺もそういう見方してみよう。誰か一人、ずっと。

 


−お互いの印象を教えてください。

奥村 新メンバーの中では「一番垣根の低い人」だと思った。誰とも話しやすいというか、そんな印象を受けました。あと……自堕落なところが僕と似てるんじゃないかと思います(笑)。俺も結構自堕落なんで。

石丸 そうですか?

奥村 一人でいるとね。だから喫茶店とか、人が周りで動いてるところじゃないと仕事ができなくて……自分一人だったらすぐテレビ観たり、違う本読んだりとか、遊んじゃって。バッグいっぱいの道具を入れてファミレスで仕事してましたね。今はマシになりましたけど。

石丸 私、奥村さんはホント優しいなって思ってます。

奥村 おお!

石丸 先輩皆さん優しいと思うんですけど……奥村さん優しい! 私は結構お酒を飲むので、ベロベロになった姿も見てるでしょうに。自分では記憶がないからアレなんですけど(笑)。

奥村 お酒で発散できるっていうのはいいよね。まぁ覚えてないかもしれけど。

石丸 あと、奥村さんって新しい部分の台本をもらって、初見で……瞬発力って言ったらいいのかな? 本当に理解するのが早いし、役を作るのがすごいはやくて。

奥村 それはMONOで身に付いたことですね。今はマシになったけど…昔もっと台本が遅かったから(笑)。読んですぐに立ち稽古。「とりあえず読んで、二回目には形にする」っていうのが身に付いて。

石丸 なるほど。

奥村 MONOはちょっと特殊かもね。土田さんは内面よりは形を重視して演出しはるから。僕は、形の中から生まれた内面でいいかなと思いながらやってるんですよね。自然にセリフが入ってきて、形も入ってきたら、そこで心が何も動かないってことはなくて、その時に生まれる感情を理解したらそれでいいんじゃないかなと。

石丸 初めて台本を読んだときから、もう「こういう話だ」って理解して……ということですか?。

奥村 「ここは笑いどころだな」とか「ここは受けたほうがいいな」とか(笑)。まぁ俺ら、MONOで何年やっとんねんって話ですよ。土田さんの言いたいこと、俺らは一から十までわかるわ、みたいな(笑)。

石丸 わあ! 頑張らんと! でもほんとにそこはすごいなって思って見てます。

奥村 とんでもない。僕らも教えられること結構ありますからね、皆さんに。お互い切磋琢磨して行きましょう。

−今回劇団員だけでの稽古ですが稽古場の雰囲気はどうですか?

奥村 僕は好きですね。気を遣わなくていいし、変な緊張感もない。劇団員だけって言っても、前回も似たようなメンバーだったから、前回よりもさらに気楽です。

石丸 昨年初めてMONOの稽古場に参加したときは、稽古場にいること自体に緊張していていたので。それよりは気持ちが楽っていうか。

奥村 そうだよね。


石丸 土田さんとは、土田英生セレクションの『算段兄弟』(2015)に出演してから何度かご一緒しましたけど、その時の稽古場とちょっと違うなと思いました。

奥村 どういう風に?

石丸 言葉にしづらいんですけど、MONOの稽古場では土田さんが楽な感じに見えます。

奥村 それはあるかも。僕はね、5人だけでやってた時よりも今の土田さんは楽しそうに見える(笑)。

−一年に一度、京都で稽古することを続けていますが、それについてどう思いますか ?

奥村
 すごいことだなと思う。生活のリズムにもなってます。2ヶ月ぐらい京都で過ごすというのが10何年も続いているから。ホームグラウンドで年間のうちの一部を京都で過ごすことが、良いメリハリになってますね。普段はずっと家で仕事をしていて、あんまり外出しないから。そういう意味ではリフレッシュできるところですかね。

石丸 私もすごいことだなと思います。MONOが大事にしてるものって固いんだなっていうか。京都の劇団だっていうところを大事にしてるのを感じます。

奥村 そうですね。東京で稽古してもいいくらい。これだけ東京に住んでるメンバーがいるんだから(笑)。


石丸 あと個人的に、京都滞在期間は芝居のことだけ考えていられるっていうがはすごいありがたいなって思います。

奥村 それはそうですね。逆に東京じゃできないからね。いつも俺は舞台美術の仕事を何本か抱えた状態で稽古をやってて苦しいんだけど、今年はちょうど何もなくて。こんなに芝居だけに集中できるなんてすごく贅沢な時間です。

−ありがとうございます。そろそろ稽古の時間ですね。

奥村 今日もがんばりましょう。

石丸 はい!

 

 

 ●奥村泰彦が考える“MONOさん家”

 

 ●石丸奈菜美が考える“MONOさん家”

金替  おじいちゃん 尾方  祖父(父方)
高橋  おばあちゃん 水沼  お父さん
土田  お母さん 土田  お母さん
水沼  お父さん 立川  長女
尾方  長男 高橋  双子の次女
立川  長女 石丸  双子の三女
石丸  次女 渡辺  立川さんの息子
渡辺  養子 金替  土田さんのお兄ちゃん
奥村  いとこ 奥村  水沼さんの弟

●次回は【 水沼 健 × 高橋明日香 】の対談を予定しています。

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