「なるべく派手な服を着る」に関して

花組芝居 加納幸和

土田君の戯曲によるMONOの舞台が大好きだった、花組芝居創立メンバーの1人、盟友「水下きよし」は「MONO-ZuKi」というユニットを立ち上げたものの、第一回『うぶな雲は空に迷う』上演後、病に倒れました。そんな水下が、中でもお気に入りが今作品でした。好きだからこそ後回しにして、自分が逝ってしまったのです。
三回忌の今年一月、「MONO-ZuKi」vol.2として、遺志を継ぎ演出させて頂きました。信じていたものが信じられなくなる、足元をすくわれた人々のゴタゴタを、独特のタッチで描く「なる派手」は、難解なようで明瞭で、重いようで軽い。それより何より「土田言葉」を読み下し、身体に染み込ませる過程が苦労でした。
人間関係の煩わしさを、有り得ない設定と大きな優しさで包み込んで見せるからこそ、個々違う人生を歩む観客に、それぞれ固有の共感を抱かせる。そこに追善という共通の思いが相乗して、中身の濃い公演になりました。
土田君、有難う!

MONO-ZuKi vol.2
BoroBon企画&花組芝居『なるべく派手な服を着る』
2016年1月24日-31日@二子玉川セーヌ・フルリにて上演されました。